生活習慣病という邦語は日本だけのローカルな方言

生活習慣病の語源はLife style related disease。これを「ライフスタイル関連疾患」あるいはせめて「生活習慣関連病」と翻訳すれば、現在あるスティグマは生まれなかった。生活習慣病という邦語は「生活習慣の問題」=個人の問題=「罹った人に責任がある」という誤解を社会に流布してしまった。

橋本英樹先生の論文によると、Pubmedのテキスト検索でlife style を検索すると117900本ヒットするが、life style diseaseを用いた論文はその0.5%、このうち日本人の論文を除くと0.15%しか存在しない。つまり生活習慣病は日本にのみ はびこるローカルな方言となっていると述べている。

現時点で「生活習慣病」に代わる用語は「非感染性慢性疾患」と考えられ、糖尿病の他、高血圧、脂質異常症、心臓病などが挙げられるが、糖尿病だけが「自己責任の病気」という社会的誤解を受けており、生育環境、年収や就労環境など健康の社会的決定要因(Social Determinant of Health、SDH)が全く考慮されず、問題が矮小化されてしまっている。

用語としての「生活習慣病」が糖尿病を持って生きている人々やその支援にあたる人々にもたらしている負の影響は計り知れず、1日も早くこの社会から退場してもらうことが必要である。

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