診断時にスティグマを軽減する工夫

DM外来あるあるストーリー

2型糖尿病の患者さんとの会話
Pt「先生、それで私は1型、2型のどちらですか?」
Dr「あなたは2型です」
Pt「2型ですか?」
 「1型は遺伝、2型は生活習慣ですよね」
Dr「いえいえ」
 「2型こそ遺伝素因の関与が大きいんですよ」
 「あなたもご両親から遺伝素因を引き継いだから発症したと言えます」
 「遺伝素因を持たない人は太っても発病しません」
 「だから、これまでの自分の生活が悪かったから発病しちゃったんだなんて考えないで下さいね」
Pt「え〜、そうなんですか?」
 「私は自分がひどい生活してきたからだと思ってました」
Dr「ひどい生活って言いましたけれど、僕だってかなりひどい生活してます」
 「僕の周りの人間を観察しても、みんな食べ過ぎ、飲み過ぎの生活をしていますよ」
 「あなただけが、ひどい生活をしていたんだなんて考えない方が良いと思います」
Pt「先生、なんか、そう言っていただけて、だいぶ気持ちが楽になりました」

解説

すべての患者さんにこう話せる訳ではありませんが、多くの患者さんは糖尿病という診断名に社会的スティグマを感じています。だから、初診時に「発症に関わる責任の所在」について触れ、「2型糖尿病の発症には遺伝的素因が深く関わっているので、あなたの過去の生活が悪かったから発症してしまったと考えることは客観的に見て、正しい受け止め方とは思えません」と伝えることでスティグマを軽減することができます。

これは2型DMと診断したときに語るお薦めの筋書きのひとつではないかと思います。

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