はじめまして

杉本 正毅(代表)

「生活習慣病を死語にする会」の代表を務めます杉本正毅と申します。発会までの経緯については別ページで述べましたので、ここでは自身について簡単に自己紹介させていただきます。

50才のとき、ナラティヴ・アプローチと遭遇し、医療人類学に魅せられ、病い体験や病いの意味を尊重した糖尿病診療をめざすようになりました。そして2007年から勤務医生活に終止符を打ち、バイオ・サイコ・ソーシャル糖尿病研究所を設立し、東京衛生アドベンチスト病院、あやせ循環器病院にて週5日の糖尿病専門外来を担当しながら、講演活動や執筆活動を行っています。患者さんのライフスタイル、価値観、健康信念、食文化などを尊重したナラティヴ・メディスンの実践をめざしています。

今や医療は患者中心医療 Patient-Centered Careからパーソン・センタード・ケア Person-Centered Careへ向かっています。すなわち、病気や障害にばかり注目するのではなく、「病気」と「人」を分離し、「人」に重点を置くケアの重要性が叫ばれています。こうした視点に立ったとき、「生活習慣病」という呼称は「病気」と「個人の生活習慣」を因果論的に結びつけ、発病があたかも個人の自己責任であるかのような意味付けを社会に広く定着させた張本人のように思われます。その結果、糖尿病を抱えて生きる多くの人々はこうした先入観による社会からの差別に晒され、感じる必要がない自己嫌悪に苦しんでいます。僕は常々、生活習慣病という呼称が糖尿病を持って生きる人々にもたらしている“生きづらさ”をなんとかできないものだろうかと考えていました。

そんな折、会の発起人となられたお二人と出会い、私自身が代表となって、本会を発会することとなりました。折しも2019年秋には日本糖尿病学会、日本糖尿病協会によって「アドボカシー宣言」が発表され、アドボカシー委員会が設立されました。今、まさに機は熟したと言えると思います。これから、本会の活動によって、健康関連スティグマのない糖尿病ケアの推進、社会的スティグマのない社会の実現をめざしたいと考えています。