スティグマ、アドボカシー

■スティグマ Stigmaとは

スティグマとは、先入観や固定観念で、人が望まないような特性で個人にレッテルを貼ることです。肥満や糖尿病、精神疾患といった病気や病態に対する健康関連のスティグマは、それを患う人々の生活に悪影響を与え、苦しめています。2000年以降、糖尿病に関連した社会的スティグマが注目されています#1。健康関連スティグマは当事者の「生きづらさ」セルフスティグマ)を生み出し、精神疾患では自尊心、自己効力感、心理的幸福感の低下を通じて、患者の行動目標に影響を与える問題はこうしたセルフ・スティグマであるというエビデンスも報告されています#2。私たちはこうした社会的スティグマのない社会の実現をめざしています。 

#1 J Clin Nurs,2003,12:149-150

#2 Psychol-Sci Pr2002,9:35-53

■アドボカシー adovocacyとは

アドボカシーというのは直訳すると「権利擁護」という意味で、糖尿病患者さんが社会から差別(スティグマ)を受けることなく、生きていくことができるように支援していく活動を指します。日本ではアドボカシー活動の遅れが指摘されていましたが、2019年8月4日、日本糖尿病協会、日本糖尿病学会は共同で「アドボカシー委員会」を設立して、社会における糖尿病に対する偏見や差別をなくしていく活動を進めていくというアドボカシー宣言https://www.nittokyo.or.jp/modules/about/index.php?content_id=46をすることで、この分野における貴重な第一歩を踏み出しました。今後、こうした活動の輪がさらに広がっていくことを期待しています。