「健康は自己責任」なのか?〜糖尿病関連スティグマについて考える〜
このたび「糖尿病関連スティグマ」について、講演内容を大きく見直してリニューアルしました。
今回は、「スティグマをなくしましょう」という話からもう一歩進んで、なぜ私たちは無意識のうちにスティグマを生み出してしまうのかを考えました。
医療者向けの講演ですが、この問題は医療者だけのものではありません。糖尿病を持つ方、ご家族、そして健康の自己責任論について考えてみたい方にもご覧いただきたいと思い、ここに公開します。
【要約】
本講演では、糖尿病関連スティグマを、単なる不適切な言葉遣いや一部の医療者の悪意ではなく、健康を道徳化する社会や医療文化の中で、誰もが無意識に生み出し得る構造的な問題として捉え直した。
「生活習慣病」という呼称とともに広がった健康の自己責任論は、「病気=本人の努力不足」という物語を生み、本来は医学的指標である体重やHbA1cを、自己管理能力や人格の評価へとすり替えてきた。糖尿病は遺伝、生活習慣、社会環境などが絡む多因子疾患であり、HbA1c高値や肥満を本人の努力不足に帰属させることがスティグマにつながる。
症例を通して、治療中断の背景には患者それぞれの人生の物語があることを示し、「分かったつもりにならずに尋ねる」重要性を考えた。
スティグマを減らすためには、言葉を変え、患者ではなく一人の「人」として見て、関係を「指導」から「対話」へ変えるPerson-Centered Careが必要である。
「自分の行動で変えられた可能性があること」と「その結果に本人の責任があること」は違う。 予防や治療の可能性は大切にしながらも、病気の発症や改善しないことを「努力不足」という人格評価には結びつけない。それが、健康を道徳化しない医療である。
【講演動画】
講演動画(約40分)は以下からご覧いただけます。
▶講演動画を視聴する
パスコード:R$f3kJF%
2026-08-26 by
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