井上典子
私は30代はじめに2型糖尿病と診断されました。特定の要因はありませんでしたが、「“生活習慣病”という偏見に晒されたら、社会の中で普通に生きられない。自分を守らなくては。」と強く思いました。自分を責め続けたため過度な節制をし、体調を崩しました。状況を周囲に開示できないために、通院や治療を継続させることが困難でした。気が付いたら医療者の声も耳に届かないほど孤立をし、最後は「どうせ自己責任なのだから」と治療中断に陥りました。
2014年から杉本医師のもとで治療を再開し、症状を安定させることができるようになりました。自己責任の縛りから解かれて、現実に向きあってみると、世間で言われる糖尿病とは違う世界が見えてきました。療養上の困難は確かにあるけれども、それを上回る工夫や発見のよろこびがあります。そこから社会の中でよりよく生きる力を得ました。
外から見れば、ただの病気なのかもしれません。しかし私にとっては、日常を一緒に送る大切なパートナーです。もう余分なラベルを貼らないで欲しいと願っています。同じ問題に苦しむ人が生まれることのない社会の実現を目指し、多くの方と話しあえたらと思います。
2021-01-10 by
関連記事